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BEYOND THE PARADISE

風を感じる耳の下

長年私の友人をやってる人はよーく知っていることだが
私はアホみたく本を読む人間である。
かつては親も眉をひそめるほどひどかった。
なんせ周りの音が遮断されちゃうくらい集中して読むのだ。
自分の子がそんな子だったら確かに怖い。
でもこの半年ブログに読書ネタを上梓したことはない。
なぜなら色気のない論文等しか読んでいないからである。

今も活字中毒ぶりは変わらない。
新聞・雑誌がなければ基本的には生きていけないのは事実。
そんな色気のなさに磨きをかけるような日々だったが
最近再び本を読むようになった。

石田衣良氏の「池袋ウエストゲートパーク」のⅠ~Ⅲと「娼年」
そして飯嶋和一氏の「黄金旅風」

どちらも筆力のある秀逸な作品だった。

ここで私の嗜好について触れなければならないような気がするのでふれておこうと思う。私は、現代小説であれ、時代物であれ、知覚や触覚で感知する部分や風俗あるいは習俗といったものをつっかかることなく読ませるものがスキだ。

そういう点では石田氏は秀でているし、どの時代のナニを切り取らせても、如才なく書く人だと思う。同じ意味では、飯嶋氏は古いタイプの小説家と言わざるを得ない。

私の好きな歴史小説家は佐藤賢一氏と佐藤亜紀氏である。
お2人は経歴が物語るように研究を積んでこられた方で、その知識に裏打ちされた描写力には並々ならぬものを感じる。時代小説の中で、肌で何かを感じるような描写ができるというのは、時代考証の煩雑さを乗り越えてなお光るセンスあってのことだ。石田衣良氏には、その片鱗を私は見た気がする。緻密に編み上げられた、心に訴える作品も大切である。江國やばなな、辻仁成などの良さは私も知っている。でも、直木賞受賞の言葉で石田氏が言っているような「小説、ちょっといいじゃん」的なものは、口にしないようなものを描写から読み取れるような疾走感とか躍動感の中にあるんじゃないかと思う。

そんなわけで、あんまりどこの書店も同じ売れっ子本ばかり積むのはいい加減にしていただけまいか、と懇願したい今日この頃。マジで。



by maki_y1116 | 2005-04-25 21:30 | 観・聴・読

楽園の、その先へ
by maki_y1116
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